管理会計とは
経営とは、調達した資金をいかに運用し利益を創出するか、がポイントです。
したがって、お金、およびそれを見える形として整理する「会計」の知識、実務は全ての経営者にとって関心の大きな部分となります。
「会計」については、時間軸で過去と未来に分けることができます。
●制度会計
過去会計とも呼ばれます。ステークホルダーや税務申告用の会計であり、ルールがあります。
ルールにのっとった記述という意味で公平性が重要となります。
●管理会計
未来会計と呼ばれます。未来と言っているように、今期までの情報を分析し、次期以降の損益計画、貸借計画を立案します。
中小企業診断士はこの管理会計のスキルを用いて、補助金申請における補助事業計画の策定支援、事業再生・事業承継などにおけるの事業DDの実行等を業務の一部として執り行うケースがあります。
そこで、今回から連作で、中小企業診断士として求められるスキルである「管理会計」について記載したいと思います。
本記事の結論
管理会計の目的は社内での利益、生産性向上の管理用です。
なお、管理会計自体はやる、やらないも自由、形式も自由です。ポイントは有効であるか否かであります。

PDCAを回す
PDCAと管理会計
言わずもがなPDCAサイクルとは、
P・・・Plan 計画
D・・・Do 実行
C・・・Check 評価
A・・・Action 対策・改善
の事を言います。
会計に関してもこのPDCAのサイクルを回して、持続的な改良を図るための仕組みづくりが必要です。
その仕組みが管理会計といえるかと思います。
管理会計のイメージ
過去の実績や市場予測から、以下のような流れで管理会計を実行します。
①過去実績から損益計算書の分析を実施。
(例:顧客別売上の採算性、商品ごとの原価率)
②市場予測から予算(売上、原価、経費、利益)の設定。
③実績データ(決算書類、月次試算表など)から、予算と実績の差異とその要因を分析。
④意思決定を行い、継続的な管理、改善を実行できる体制を構築。

中小企業診断士としては、支援先のリソースと、分析にかかる時間等を鑑みて、最も費用対効果の高い方法で管理できるように支援したいです。
時間がかかり高度な分析を行うことが、すべての支援先に求められるわけではない、と思います。
管理会計の使い方
実績データとの差異をグラフ、表などで見えるような形としてまとめます。
その図表を基に、経営会議・営業会議・生産会議などを実施し、予算ー実績の差異の要因を深堀したり、対策を検討したりすることで、経営改善を図ることができます。
また市場からのフィードバックを随時経営レベルから現場レベルまで共有することで、以下のような考察につながることが考えられます。
・どのような製品、サービスにニーズがあるのか?
・自社の強みと実績から導き出される戦略としてなにがあるか?
・なぜ良好な経営成績につながったのか?
・逆に不良な結果はなぜもたらされたのか?自社要因か、外部環境によるものか?
これらを従業員と対話することで、あらたな事業のアイディアが生まれたり、従業員自身のモチベーションアップなどの効果を得ることも期待できます。
まとめ
「会計」というと、なんだか疎ましく感じてしまう方も多いのではないでしょうか?
ですが、自社の将来利益計画、拡大戦略の立案、と考えるとわくわくしてきませんか。
そのベースとなるのが管理会計の考え方です。
今回から複数記事にわたって管理会計について記載したいと思います。
拙著ですが、よろしくお付き合いください。
管理会計のエッセンス
なお、これらの記事については、主に【原著第7版】管理会計のエッセンス(同文館出版)からヒントを得て記述を行っています。アイディアを引用しているところに関しましては、引用元を記載しております。
この図書は、ストーリ仕立てでわかりやすく管理会計について記載しているので、おすすめの一冊です。ぜひ手に取ってみていただければと思います。

津田沼の丸善書店で衝動買いした本の一冊です。
結構面白かったです。厚みの割にはすらすら読み進められました。
コメント